16-238「太陽」(日本)

村をダメにしたのはノクスじゃない
 21世紀初頭の日本。バイオテロによる謎のウイルスの拡散で世界の人口は激減し、生き残った人類はウイルスの感染を克服した新人類と旧人類に2分した。
 新人類は“ノクス”と呼ばれ、心身共に進化し高度な社会を構築するが、太陽の下では生きられないという弱点を抱えていた。一方、“キュリオ”と呼ばれる旧人類は、太陽の下で自由に生きられるものの、ノクスに管理され、貧しい生活を強いられていた。
 20歳までの若者にはノクスへの転換手術を受けられるチャンスがあったが、ある時、キュリオの暮らす村でノクスが惨殺される事件が起こり、その村では厳しい経済封鎖を受けるとともに、転換のチャンスも奪われてしまう。
 それから10年、キュリオの青年・奥寺鉄彦は、村での鬱屈した生活にやり場のない怒りを抱える日々。その幼なじみの生田結は、かつて母親が自分と父を捨ててノクスに転換したことでノクスへの憎しみを募らせていた。
 そんな中、10年ぶりに経済封鎖が解かれ、ノクスへの転換手術の募集も再開される。ノクスに憧れる鉄彦はすぐさま応募し、期待に胸を膨らませるのだったが。(「allcinema」より)


 太陽の下では生きられないものの、高度な社会を構築する新人類のノクスと、太陽の下で生きられるものの、ノクスに管理され、貧しい生活を強いられる旧人類のキュリオ。

 ノクスになることを望みながら日々生きるキュリオの青年、奥寺鉄彦。
 そんな鉄彦の、同じキュリオである幼なじみの少女、生田結や門番をしている、ノクスの青年、森繁富士太との交流の日々を描きながら、キュリオが住む村で起こる事件、そしてそれぞれが抱える想いが描かれる。


 格差のある社会での憤りなどが描かれるが、その怒りの矛先は高度で裕福な生活を送るノクスたちにキュリオたちに向けられるが、実は問題は自分たちの中にあるのではないかと考える者もいる。

 そんな社会で、大人たちに、ある意味振り回されてしまう子供たちの運命が描かれていき、なかなか興味深い話ではあった。

 ノクスとキュリオが生まれた背景には、原因不明のウイルスの蔓延で人口が激減し、それに因るものがあったということで、一応SF的な要素もあるのだが、キュリオが生活する村ははかなり文明とは程遠い雰囲気。

 ノクスの生活は近代的であり、その格差がそこで生活する人間たちの気持ちにも表れているような感じである。


 SF的な面白さよりも、格差社会で生きる者たちの姿、それに巻き込まれてしまう子供たちの姿を見るような青春ドラマだったな。

/5 

監督:入江悠
出演:神木隆之介、門脇麦、古川雄輝、綾田俊樹、水田航生
    高橋和也、森口瑤子、村上淳、中村優子、鶴見辰吾、古舘寛治
於:池袋シネマ・ロサ
太陽
2016-10-07


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