16-201「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」(イギリス)

理性の崩壊が狂気を生む
 1960年、ユダヤ人絶滅計画を推し進めたナチ親衛隊の将校アドルフ・アイヒマンが逃亡先のアルゼンチンでイスラエル諜報機関により拘束される。その後、彼はイスラエルへ移送され、エルサレムの法廷で裁かれることに。
 アメリカの若き敏腕プロデューサー、ミルトン・フルックマンはこの裁判のTV放映権を獲得、監督に赤狩りで職を失っていた米国人ドキュメンタリー監督レオ・フルヴィッツを起用するなど一流のスタッフを編成し、万全の体制で本番に臨もうと意気込む。
 そんな彼らの前には、思いも寄らぬ数々の困難が待ち受けていたのだが。(「allcinema」より)


 ナチス親衛隊としてユダヤ人迫害の最高責任者であったアドルフ・アイヒマン。
 1961年、イスラエル諜報機関によって捕らえられた彼の裁判がエルサレムで行われることになり、アメリカのプロデューサー、ミルトン・フルックマンは、その裁判をTVで放映する権利を得る。

 スタッフを集め、いざ撮影の準備を進めていく中で、様々な困難が彼らを待ち受ける。


 実際にあった裁判の裏側を描いた話であるが、内容が内容だけに、なかなか重苦しく、かなり抑えた雰囲気の作品であった。

 裁判所内の撮影ため、カメラを配置することから問題が発生し、その後も数々の困難にさらされることとなるフルックマン。
 何とか撮影、放映にこぎつけたものの、なかなか思うような映像は撮れず、あせりが募っていく。


 当時の映像も挿入しながら、ユダヤ人迫害の実態を露にしていく展開。

 そして、ついにはフルックマンにナチスの残党とも思われる相手から脅迫まであり、緊張感だけは高まる。

 果たして無事に撮影は進み、終わるのか。そのあたりも静かな緊張感を持って進んでいく感じである。

 
 フルックマンはTVとして視聴者の興味をかきたてるような映像を望むが、監督のレオ・フルヴィッツは別のものを望んで撮影を進めていき、二人の間にも対立が起きたりする。


 向かう先が判りづらい話ではあったが、最終的にはフルヴィッツが望むものが撮れ、それがフルックマンの望みをも満たすというような結末。

 エンターテインメントではないが、世紀の裁判をTVで放映するということに望んだ男たちの困難が描かれた作品として、なかなか興味深い作品だった。

/5

監督:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:マーティン・フリーマン、アンソニー・ラバリア、レベッカ・フロント、アンディ・ナイマン、ニコラス・ウーデソン
於:ヒューマントラストシネマ有楽町

この記事へのコメント

ふじき78
2017年01月08日 10:16
> ナチス親衛隊としてユダヤ人迫害の最高責任者であったアドルフ・アイヒマン。

アイヒマンはユダヤ人の収容所への移送責任者であって、収容所で行われた迫害とかについてアイヒマンは関係ない筈です。だから、上の表現は違うと思う。アイヒマンの罪を問う裁判で、延々と収容所内の虐待の話が出るのは実は裁判に名を借りてTVショーの力を使ったプロパガンダの空気を色濃く感じます。
2017年01月09日 01:35
ふじき78さん。

正直アイヒマンの存在というのは
この作品で初めて知ったくらいなので、
実情はよく判りません。
宣伝文句をそのまま借りました。
最高責任者は結局総統ということですかね。

そうすると結局真実を世界に知らしめるTV
というより、それこそ言われている
TVショーだったということですか。

ちなみに、このアイヒマンに関する作品が
今年も2本ほど上映されるらしいです。
観てみる気になってきました。

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