13-240「黒いスーツを着た男」(フランス・モルドヴァ)

犯した罪の値段はいくら? 
 社長令嬢との結婚という人生の成功を手に入れるまで十日を残すのみとなったアルだったが、深夜のパリで自らが運転する車で男を轢いてしまう。
 友人たちの協力により逃走を図るものの、その一部始終を事故現場近くのアパルトマンに住むジュリエットに目撃されていた。ジュリエットは被害者男性の妻であるヴェラと出会い親交を深めていく。
 そしてアルとも偶然の再会を果たしてしまうのだった。(「allcinema」より)


 10日後に社長令嬢との結婚が決まっていた男が、車で男を轢いてしまい、更にそのまま逃走したことによって陥る苦悩を描いたクライム・サスペンス。

 成功を掴もうとする男が、罪を犯してしまい、更にそれを隠そうとしてどんどん泥沼にはまってしまうという話は、先日の「キング・オブ・マンハッタン 危険な賭け」など幾つか観たような気がするが、本作のアルは事故を起こしてしまったことに苦悩し、自らの良心と葛藤する。

 そんなアルの苦悩する姿を映し出しているが、面白いのは、その事故を目撃した女性、ジュリエットの取った行動と、それによって苦悩する姿も描かれる。

 そしてもう一人、轢かれた男の妻、ヴェラ。
 夫婦ともモルドヴァからの移民であったが、滞在許可証を持っておらず、夫の事故によって、不法移民である立場の苦しみを感じる。

 物語は、そんな3人が陥る苦悩を描きながら進行していくが、果たして事故にどのような決着を付けるのか、先が読めない展開となっている。

 アルが事故を起こした直後に取った行動は当然問題だったと思うが、その後罪に苛まれながらも、手にしようとしている成功を手放す勇気もなく、下手な小細工を弄し、余計に泥沼にはまっていく。

 不思議であり、予想もしなかったのが、ジュリエットの行動だろうな。

 事故の目撃者であり、被害者を手助けしたジュリエットは、被害者の妻ヴェラと親しくなっていくが、偶然にも加害者であるアルを見つけ出し、接触する。

 物語としては面白いし、アルに少なからず同情してしまうと、ジュリエットの行動、考えも救いのように感じるが、やっぱり倫理的に見ると、ちょっとバカなことをしてしまったのかな、と思う。

 モルドヴァから来た、被害者の親戚らしき男二人がちょっと怪しい人物に感じたので、報復があるんだろうな、と感じる。

 ハッピー・エンドにはさすがにならなかったが、かと言って悲劇に終わるというわけでもなかったな。

 事故を起こした男の苦悩と、その事故に巻き込まれてしまった二人の女性の葛藤を描き、単に加害者の転落を描いた作品ではなかったところは面白かった。

 主人公のアルを演じたラファエル・ペルソナーズは、〝アラン・ドロンの再来〟と言われているらしく、フランスでは人気が上がってきている俳優らしい。
 確かに端整で、見た目はとてもいい俳優だったな。

/5

監督:カトリーヌ・コルシニ
出演:ラファエル・ペルソナーズ、クロチルド・エム、アルタ・ドブロシ、レダ・カテブ、アルバン・オマル
    アデル・エネル、ジャン=ピエール・マロ、ローラン・カペリュート、ラシャ・ブコヴィッチ
於:ヒューマントラストシネマ渋谷
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2014-05-02


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  • 黒いスーツを着た男

    Excerpt: 目撃者の女の行動にイラッとする。 Weblog: だらだら無気力ブログ! racked: 2013-10-27 00:51
  • 黒いスーツを着た男

    Excerpt: ラファエル・ペルソナが出るってんでワクワクしてた作品。 もっさり社長令嬢との結婚が間近に迫ったアランことアルは、友人達と羽目をはずして飲みにでた帰り、男を轢いてしまう。そのまま逃走したのだが.. Weblog: いやいやえん racked: 2014-04-13 09:46