13-203「クラウド アトラス」(アメリカ)
子宮から墓場まで
1849年、南太平洋。青年ユーイングは、妻の父から奴隷売買を託され、船での航海に出るが。
1936年、スコットランド。ユーイングの航海日誌を読む若き作曲家フロビシャー。父に勘当され、天才作曲家のもとで曲づくりに悪戦苦闘する。その曲は、のちに幻の名曲と呼ばれる『クラウド アトラス六重奏』だった。
1973年、サンフランシスコ。巨大企業の汚職を追及する女性ジャーナリスト、ルイサは、会社が放った殺し屋に命を狙われるが。
2012年、イングランド。著書を酷評した評論家を殺害した作家ホギンズ。彼の自伝は大ヒットし、出版元の編集者は大儲けとなるが。
2144年、ネオ・ソウル。そこは遺伝子操作によって複製種が作られ、人間のために消費される社会。複製種の少女ソンミ451は自我に目覚め、反乱を企てるが。
そして遥か未来、文明がすっかり崩壊した地球。ある羊飼いの男のもとを、進化した人間コミュニティからやって来た一人の女が訪ねるが。
6つのエピソードは並行して描かれ、やがて怒濤のクライマックスへと突き進んでいく。(「allcinema」より)
「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー姉弟と「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァが共同で監督し、デイヴィッド・ミッチェルの原作を映画化した作品。
その3人の監督だけでも注目であるが、19世紀から24世紀に至るまでの、6つのエピソードを、それぞれ違ったジャンルで描いて、一つの作品に仕上げているということにも興味惹かれる作品である。
トム・ハンクスが、それぞれの時代で、それぞれ個性の違った役柄を演じているということが注目されていたが、何役も演じたのはトム・ハンクスだけでなく、ハル・ベリーやジム・スタージェスなど、主だった出演者全てが、それぞれの時代で役をこなしていたようである。
エンド・ロールで誰が何を演じていたのかを紹介しているが、特殊メイクなども施しており、見ていて気付いたものもあれば、全く気付かなかったものもあった。
ヒュー・グラントなんて一役しか気付かなかったな。
物語は、トム・ハンクス演じる老人ザックリーが語りだす、6つの物語を並行して描き出している。
それぞれのエピソードは、時代に合ったジャンルで描かれており、それぞれに事件をはらみ、それを解決しようとする人々の奮闘が描かれる。
そして、それぞれの時代には、小さな物事であるが、少なからずつながりを見せている。
正直クライマックスには、もっと大きなつながりを見せて、驚かされるのかと思ったのだが、それでもそれぞれのエピソードがしっかりと描かれているし、それぞれ違った風に描かれるところが、3時間近い作品ながら、飽きさせることがなかったのだろう。
基本的には、トム・ハンクス演じる男たちが、大きな中心となっているようである。
彼の中で、善と悪が繰り返されているように描かれる。
おそらく輪廻転生のようなことが主題となっているような感じではあるが、それが判りやすく描かれているとは言い難いな。
ちょっとしたつながりを提示してはいるが、大きなつながりを読み取るのは、やや難しい感じのする話、展開ではあったが、作品としては非常に興味深いし、それぞれのエピソードも先がどうなるのか気になり、面白い話であった。
2144年の、ペ・ドゥナ演じるソンミが主人公となる、SF風の作品も面白かったが、個人的には1936年の、音楽家フロビシャーのエピソードが好きだった。
1849年のエピソードで、ユーイングの残した航海日誌を読み、その後のエピソードで聞かれることになる、「クラウド アトラス 六重奏」を作り出した音楽家のエピソード。
こういう判りやすいつながりは良かったな。


/5
監督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィービング
ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェイムズ・ダーシー、ジョウ・シュン
キース・デイビッド、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント、デヴィッド・ジャーシー
於:丸の内ピカデリー
1849年、南太平洋。青年ユーイングは、妻の父から奴隷売買を託され、船での航海に出るが。
1936年、スコットランド。ユーイングの航海日誌を読む若き作曲家フロビシャー。父に勘当され、天才作曲家のもとで曲づくりに悪戦苦闘する。その曲は、のちに幻の名曲と呼ばれる『クラウド アトラス六重奏』だった。
1973年、サンフランシスコ。巨大企業の汚職を追及する女性ジャーナリスト、ルイサは、会社が放った殺し屋に命を狙われるが。
2012年、イングランド。著書を酷評した評論家を殺害した作家ホギンズ。彼の自伝は大ヒットし、出版元の編集者は大儲けとなるが。
2144年、ネオ・ソウル。そこは遺伝子操作によって複製種が作られ、人間のために消費される社会。複製種の少女ソンミ451は自我に目覚め、反乱を企てるが。
そして遥か未来、文明がすっかり崩壊した地球。ある羊飼いの男のもとを、進化した人間コミュニティからやって来た一人の女が訪ねるが。
6つのエピソードは並行して描かれ、やがて怒濤のクライマックスへと突き進んでいく。(「allcinema」より)
「マトリックス」シリーズのウォシャウスキー姉弟と「パフューム ある人殺しの物語」のトム・ティクヴァが共同で監督し、デイヴィッド・ミッチェルの原作を映画化した作品。
その3人の監督だけでも注目であるが、19世紀から24世紀に至るまでの、6つのエピソードを、それぞれ違ったジャンルで描いて、一つの作品に仕上げているということにも興味惹かれる作品である。
トム・ハンクスが、それぞれの時代で、それぞれ個性の違った役柄を演じているということが注目されていたが、何役も演じたのはトム・ハンクスだけでなく、ハル・ベリーやジム・スタージェスなど、主だった出演者全てが、それぞれの時代で役をこなしていたようである。
エンド・ロールで誰が何を演じていたのかを紹介しているが、特殊メイクなども施しており、見ていて気付いたものもあれば、全く気付かなかったものもあった。
ヒュー・グラントなんて一役しか気付かなかったな。
物語は、トム・ハンクス演じる老人ザックリーが語りだす、6つの物語を並行して描き出している。
それぞれのエピソードは、時代に合ったジャンルで描かれており、それぞれに事件をはらみ、それを解決しようとする人々の奮闘が描かれる。
そして、それぞれの時代には、小さな物事であるが、少なからずつながりを見せている。
正直クライマックスには、もっと大きなつながりを見せて、驚かされるのかと思ったのだが、それでもそれぞれのエピソードがしっかりと描かれているし、それぞれ違った風に描かれるところが、3時間近い作品ながら、飽きさせることがなかったのだろう。
基本的には、トム・ハンクス演じる男たちが、大きな中心となっているようである。
彼の中で、善と悪が繰り返されているように描かれる。
おそらく輪廻転生のようなことが主題となっているような感じではあるが、それが判りやすく描かれているとは言い難いな。
ちょっとしたつながりを提示してはいるが、大きなつながりを読み取るのは、やや難しい感じのする話、展開ではあったが、作品としては非常に興味深いし、それぞれのエピソードも先がどうなるのか気になり、面白い話であった。
2144年の、ペ・ドゥナ演じるソンミが主人公となる、SF風の作品も面白かったが、個人的には1936年の、音楽家フロビシャーのエピソードが好きだった。
1849年のエピソードで、ユーイングの残した航海日誌を読み、その後のエピソードで聞かれることになる、「クラウド アトラス 六重奏」を作り出した音楽家のエピソード。
こういう判りやすいつながりは良かったな。



監督:ラナ・ウォシャウスキー、トム・ティクヴァ、アンディ・ウォシャウスキー
出演:トム・ハンクス、ハル・ベリー、ジム・ブロードベント、ヒューゴ・ウィービング
ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェイムズ・ダーシー、ジョウ・シュン
キース・デイビッド、スーザン・サランドン、ヒュー・グラント、デヴィッド・ジャーシー
於:丸の内ピカデリー
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