11-92「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」(日本)

生きて日本へ帰ろう 
 1944年。日本軍にとっての重要拠点であるサイパン島は、圧倒的な物量に勝るアメリカ軍の前に、陥落寸前まで追い込まれていた。そしてついに、サイパン守備隊幹部は日本軍玉砕命令を発令する。
 そんな中、玉砕を覚悟しながらも生き延びた大場栄大尉は、無駄死にすることなくアメリカ軍への抵抗を続けることを決意する。
 そんな彼のもとには、その人望を慕って、上官を失った兵士や民間人たちが集まってくる。やがて彼らは、サイパン島最高峰タッポーチョ山に潜み、ゲリラ戦を展開していく。
 その統率された部隊に翻弄されるアメリカ軍は、大場大尉を“フォックス”と呼び、警戒を強めていくが。(「allcinema」より)

太平洋の奇跡 -フォックスと呼ばれた男 - goo 映画

 太平洋戦争終戦間際、サイパン島での圧倒的なアメリカ軍の戦力を前に、残存兵力を組織し、アメリカ軍を翻弄した大場大尉の誇り高き戦いを描いた戦争ドラマ。

 元々は敵であったアメリカ軍の海兵隊員であったドン・ジョーンズの記した原作を映画化した作品。

 サイパン玉砕の後、生き残った大場大尉が、最後の制圧を行おうとするアメリカ軍に対して、どのような作戦を以ってして翻弄するのか、そのあたりに興味を持って鑑賞したので、意外とそういう作戦を見せるシーンが少なかったのは残念だった。

 どちらかと言えば、敵国であるアメリカ軍のハーマン・ルイス大尉の、大場大尉を賛美する言葉の方が多すぎて、実際に戦いに関して、そこまでの策士だったのかは疑問だったな。

 わずかに残った兵力と、民間人を護りながら、アメリカ軍を相手に一歩も引けをとらぬ戦いを見せるというよりも、彼の生きるということと、護るということの考えに焦点を当てていた感じだったな。

 アメリカ軍に対して、家族を殺されたために復讐心だけを燃やす、井上真央演じる青野千恵子に対する姿勢や、敗戦間際、民間人たちの命を護るために、一番いい選択を採ろうとする真摯な姿は、共感できるものであった。

 観ている側としては、一番いい方法は、と考えるのだが、当時の日本人の考えとしては、そう簡単にはいかなかったのだろうな。

 青野千恵子の考えや、山田孝之演じる木谷の言動などは、見ていてイライラしたり、愚かに感じたりするのだが、当時では当たり前だったのかもしれないな。

 ハーマン・ルイス大尉の独白のようなシーンも多く、大場大尉を賛美する言葉も多いのだが、〝フォックス〟と呼ばれ、恐れられるほどの作戦を敢行したシーンは少なかった。

 憶えている限りでは、霧にまぎれて逃げたことと、水飲み場を利用したことぐらいか。

 日本映画ではあるが、ハーマン・ルイス大尉を演じたショーン・マクゴーウァンなど、アメリカ側の役者も目立っていたのだが、こういう日本映画に出演するアメリカ側の俳優って、あまり有名ではない人が多い、という印象がある。

 ショーン・マクゴーウァンは正直知らないが、ポラード大佐を演じたダニエル・ボールドウィンが出ていたのには驚き。
 ウェシンガー大佐を演じたトリート・ウィリアムズも「ベガスの恋に勝つルール」などに出演していた役者のようだった。

 戦争映画としては、戦いのシーンが少なめで、大場大尉の作戦シーンも少なかったことが、予想していたものと違ったのだが、日本人としての誇りを持って最後まで戦い、生き残った者たちを護り続けたという大場大尉の姿には、少なからず共鳴できた作品ではあった。

/5

監督:平山秀幸
出演:竹野内豊、唐沢寿明、ショーン・マクゴーウァン、井上真央、山田孝之
    中嶋朋子、岡田義徳、板尾創路、光石研、柄本時生、近藤芳正、酒井敏也
    ベンガル、阿部サダヲ、ダニエル・ボールドウィン、トリート・ウィリアムズ
於:TOHOシネマズ シャンテ

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