10-81「パレード」(日本)

実はみんな知っている
 都内のマンションをルームシェアする4人の男女。映画会社に勤める健康オタクの直輝はこの部屋に最初から住んでいる最年長。一方、イラストレーターで雑貨屋店員の未来は、おかまバーの常連。また、先輩の彼女に恋をした大学3年生の良介は告白する勇気が出ずに悩んでいる。そして無職の琴美は若手人気俳優と熱愛中。
 そんな彼らはそれぞれ不安や焦燥感を抱えながらも、“本当の自分”を装うことで共同生活における互いの均衡を保っていた。
 しかし、いつしか男娼のサトルがこのマンションに住み着くのと時を同じくして、町では女性を狙った暴行事件が連続して発生、これを境に彼らの穏やかな日常は次第に歪み始め、やがて思いもよらない事態を招いていく。(「allcinema」より)

パレード - goo 映画

 「世界の中心で、愛をさけぶ」や「今度は愛妻家」の行定勲監督が、熱望したという吉田修一の青春群像小説を映画化した作品。

 都内の2LDKのマンションで共同生活をしている直輝、良介、未来、琴美の4人の部屋に、サトルという一人の若い男が転がり込んでくることにより、それまで穏やかだった4人の日常生活が歪み始める様を描いている。

 彼らが住むマンションの近くで、連続女性暴行事件が発生し、ちょうど同じ頃にサトルという若者が現れたことによって、4人はサトルに疑惑を抱く。

 果たしてサトルが犯人なのか? という疑惑を抱かせながら、物語が運ばれていき、その間にサトルを含む5人の物語を一人づつ紡いでいくという形式。

 それぞれのエピソードも面白いものがあるのだが、お互いそれ程波風立たせずに付き合ってきた4人に対し、サトルという人物は、ちょっと異質の雰囲気を湛えている。

 サトルがそれぞれの人物に絡んでいる時、どこか土足で心に入り込んできそうな雰囲気があり、観ている側としても、ちょっと居心地の悪い気分になってくる。

 サトルを演じた林遣都はこれまでの役柄とは違う雰囲気の役を演じていたように思うが、なんとも捉えどころのないサトルという役をうまく演じていたように思う。

 他の4人も、藤原竜也、香里奈、小出恵介、貫地谷しほり、と若手演技派が顔を揃えていて、さすがにそれぞれ感情の動きを表すところなど、惹き付けられるものがあったな。

 様々なエピソードが紡がれていく中で、女性連続暴行事件と犯人疑惑の話が全体を通して進んでいき、最後にその犯人も明かされる仕組みなっている。

 もしや犯人は・・・と思っていた通りの結末とはなったが、基本的に犯人探しのミステリー作品というわけでもないので、どちらかと言えば、犯人が判明してからの展開が、ある意味衝撃的ではあるだろう。

 「誰もが知っている誰かなんていないんだよ」
 「実はみんな知っているんじゃない。よく判らないけど、そのことについて話したことはないから」

 身近にいる人をどこまで判っているのか、と言われれば、実際判らない部分の方が多いだろう。
 そんなに心のうちをさらけ出すような人もいないだろうから。

 あるいは、感じていることを相手にぶつけることも少ないかもしれない。

 そんなあたりをこの作品は言わんとしているのかもしれないが、あまりそれを押し付けるような感じでもなかった。

 観ていて、なかなか惹き込まれるストーリーであり、ラストも唸るものではあったが、難しい部分もあったかな、という印象の作品であった。

/5

監督:行定勲
出演:藤原竜也、香里奈、貫地谷しほり、林遣都、小出恵介
    竹財輝之助、野波麻帆、中村ゆり、正名僕蔵、キムラ緑子、石橋蓮司
於:シネ・リーブル池袋
劇場版 パレード オリジナルサウンドトラック
コロムビアミュージックエンタテインメント
2010-02-17
サントラ

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