167「幻影師アイゼンハイム」(アメリカ・チェコ)

目に見えるもの全てが現実とは限らない
 19世紀末ウイーン。ハプスブルク帝国末期。奇術に魅せられた少年は、公爵令嬢と恋に落ちる。しかし、二人の仲は引き裂かれ、少年は街を出る。15年後、ウイーンでは一人の男のイリュージョンが人々の絶大な人気を博していた。その男は幻影師アイゼンハイム。かつて公爵令嬢と恋に落ちた男だった。
 そしてアイゼンハイムは舞台の上で公爵令嬢ソフィと再会する。彼女は今や皇太子レオポルドの婚約者として注目を集めていた。しかし、この再会がきっかけで、二人の恋は再び燃え上がる。皇太子との婚約を取りやめ、アイゼンハイムとソフィは一緒に街を出ることを決意するが、事件はその直後に起こった。

 アメリカではちょうど「プレステージ」と同じ頃に公開しており、「プレステージ」よりもこちらの方を早く観たいなと思っていたのだが、なかなか公開されず、「プレステージ」からほぼ1年遅れてようやく公開である。

 すっかり騙されてしまった。
 予告編を観たストーリーのイメージからはこんな結末は、恥ずかしながら予想もしていなかった。ソフィを殺した皇太子をイリュージョンで告発して、最後は皇太子の逮捕で話が終わるのだと思っていた。
 「爽快なラスト!!」という謳い文句があったが、これはあまり評判の良くない皇太子の殺人を暴くことによる爽快さなのかと受け取っていた。
 実際はソフィと再会した時点からトリックは仕掛けられていたようで、それらがラストに全て明かされるという展開である。確かに途中気になるシーンはあった。皇太子がソフィに手をかけるシーンや、ウール警部らがソフィの遺体を調べるシーンである。このあたりのシーンで、勘のいい人は話の展開がわかってしまうのかも。

 イリュージョンが話の中心となるので、色々なイリュージョンが登場するが、全てにネタがあるように見せていて、それ程現実離れしたようには感じさせなかった。
 ソフィが殺された後のアイゼンハイムは、愛する人を亡くした悲しみと苦悩がよく表れており、そこで見せるイリュージョンは正義の裁きのために行っているものである。彼の雰囲気からすっかりそう騙されてしまう。

 アイゼンハイムを演じたエドワード・ノートン。幻影師というちょっと謎めいた雰囲気とソフィに対する感情を見事に表して、観ている者を話に引き込ませている。
 公爵令嬢ソフィを演じたジェシカ・ビールは嫌いではないのだが、今ひとつ公爵令嬢という雰囲気がなかったな。
 ウール警部役のポール・ジアマッティ、皇太子役のルーファス・シーウェルは固い演技である。

 細かい部分は確かにおかしいと思う部分はある。やっぱりそういう話のオチなのかと、驚くべきほどではないのかもしれないが、それでもすっかり騙され、爽快な気分にはさせられる作品である。

/5

幻影師アイゼンハイム - goo 映画


監督:ニール・バーガー
出演:エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビール、ルーファス・シーウェル、エドワード・マーサン
    ジェイク・ウッド、トム・フィッシャー、アーロン・ジョンソン、エレナー・トムリンソン、カール・ジョンソン
於:日比谷シャンテ・シネ
幻影師アイゼンハイム オリジナル・サウンドトラック・アルバム
ビデオアーツ・ミュージック
2008-04-23
フィリップ・グラス

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この記事へのコメント

2008年07月06日 13:24
おお、満点ですね!
おいらもすっかり騙された口です、
話の進め方は実に上手かったです。
ノートンさんも流石の演技で痺れましたし
中世の雰囲気も良かったです。

でも好みで言えばプレステージの方が好きなんですよね
どろどろした暗さが好きな変わり者です。
2008年07月06日 23:33
くまんちゅうさん、コメントありがとうございます。
点数はちょっと贔屓目がありますが、それでも充分満足いく作品でした。
すっかり騙されましたしね。確かに話の進め方も良かったですね。
私は「プレステージ」よりも断然こちらの方が好みですね。
「プレステージ」の対決というのも面白かったですが。
とらねこ
2008年07月22日 21:34
CINEChANさん、こんばんは~♪
おお、びっくりしました!随分と評価が高かったのですね!
ぴちょんくん‥というのはとなひょうさんの言い方ですが(笑)、5つですか!
何かとムード満点で、アイゼンハイムの怪しさがすごく良かったです。
私も正直、ジェシカ・ビールはいまいち魅力不足に思えちゃいました。
睦月
2008年07月22日 23:13
こんばんわ。
満点・・・ウフフフ・・・満点。

私、爽快に騙されることが出来ていたら・・・絶対に満点★つけていたと思う。でもねー、途中で勘付いてしまったんですよねえ。そこが残念でした。

でも、なんたってノートンの存在感が素晴らしかったですね。
愛するジョニーもカメレオン俳優なんて言われていますが、ノートンもとても正統派なカメレオン俳優だなあと思います。素敵ですわー。
2008年07月24日 00:31
とらねこさん、コメントありがとうございます。
はい、本作はかなりの満足作でした(笑)。
雰囲気も良かったですしね。
ジェシカ・ビールはやっぱりこの役にはちょっと合わなかったですね。
2008年07月24日 00:34
睦月さん、コメントありがとうございます。
何か、この作品に関しては、
途中でわかってしまった人とすっかり騙された人と分かれたみたいですね。
まあ爽快に騙された私としては、やっぱり満点ですね。
エドワード・ノートンの演技も良かったです。
2010年05月09日 11:33
TB有難うございました。
>アメリカではちょうど「プレステージ」と同じ頃に公開
時代が同じ19世紀末で題材が奇術師という事で
予告情報からは、かなりイメージが重複してしまいました。
>ジェシカ・ビールは今ひとつ公爵令嬢という雰囲気がなかった
令嬢と言うよりは、農場のじゃじゃ馬娘といった印象でした。
2010年05月09日 22:48
Hiroさん、コメントありがとうございます。
日本での公開は「プレステージ」の方がはるかに早かったですが、
同時に公開するというのは、ある意味度胸ありますね。
ジェシカ・ビールは公爵令嬢っぽくなかったのは
やや残念でしたね。

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