140「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(アメリカ)

お前のミルクを吸い上げている
 20世紀初頭、一攫千金を夢見る鉱山採掘業者のダニエル・プレインヴュー。父親が採掘中に事故で亡くなり、孤児となった子供を拾い、自分の息子H.W.として連れ歩いていた。
 ある日ポールという青年から、自分の土地に油田があるはずだとの情報を得て、西部の町リトル・ボストンへと向かう。言葉巧みに有望な土地を有利な条件で買い叩き始めるダニエル。こうして建造された油井はプレインヴューに莫大な土地と権力をもたらし、町はにわかに繁栄する。
 しかし、ポールの双子の兄弟で、住人の信頼を一手に集めているカリスマ牧師イーライだけがプレインヴューに対し、警戒心を強めていった。

 昨年度アカデミー賞作品候補となり、主演のダニエル・デイ=ルイスが主演男優賞を獲得した作品。

 20世紀初頭を舞台に、石油で一攫千金を狙う男の欲望と成功、破滅を描く壮大な大河ドラマという感じである。石油を掘り当て、成功するというのは〝アメリカン・ドリーム〟のようであるが、この作品はそんな明るさのない作品である。〝アメリカン・ドリーム〟を求める欲望を表している。

 正直ちょっとストーリー的にはわかりにくかったかな。ダニエル・プレインヴューという男にスポットを当て、石油によって莫大な富を得ながら、やがて破滅していくさまを描いているようだが、まずその成功の度合いというのが映像的にはわからなかったということ。町もそんなに繁栄したようには見えなかった。
 精神的に人と交わることが嫌いなダニエルが、更に激しく人との交わりを絶っていこうとする様が体現されるが、ダニエル・デイ=ルイスが素晴らしい演技を見せようとも、やっぱり判りやすい破滅の様を見せてほしかったかな。

 ダニエルに対峙していくのが、牧師のイーライ。彼との対立の様がもっと描かれるのかと思った。油井が稼働したとたん死亡事故が発生し、もしかしたらイーライの仕業なのか? と思ったが、さすがにそんなことはなかったようだ。
 強欲なダニエルに対し、精神的な理想を掲げる若き牧師のイーライ。ダニエルがイーライに屈していくのかと思ったが、ラストには結局二人は同じ穴のむじなであることが表される。

 2時間超の作品ではあるが、退屈するということは感じなかった。それは確かにダニエル・デイ=ルイス、そして言うならポール・ダノの演技には魅せられるものがあったからだろう。そして、何かしら波乱の予感を感じさせる音楽も印象的であった。

 ただ物語の行き先がよくわからない作品であった。正直ラストも捕らえ辛いものがあり、何故最後にあんなことをしたのか、わからなかったな。

 「できるだけ多く金を手に入れて、他人からは遠ざかっていたい」

/5

監督:ポール・トーマス・アンダーソン
出演:ダニエル・デイ=ルイス、ポール・ダノ、ケヴィン・J・オコナー、キアラン・ハインズ
    ディロン・フレイジャー、バリー・デル・シャーマン、コリーン・フォイ、ポール・F・トンプキンス
於:日比谷シャンテ・シネ
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2012-02-08


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