222「酔いどれ詩人になるまえに」(アメリカ・ノルウェー)

週の半ばだからこそ、酒が必要
 何度職に就いても、酒が原因でクビになってばかりの自称〝詩人〟ヘンリー・チナスキー。売れない小説や詩を出版社に送り続け、その場しのぎの仕事で渡り歩いている。その日暮らしの酔っ払い。
 ある日バーで出会った女性ジャンと一緒に暮らし始める。同じく飲んだくれのジャンとの生活は明日の見えない生活。別の女性のところに転がり込んでもそれは変わらない。
 それでもチナスキーは書くことは続けていた。湧き出る言葉を書き留めずにはいられない。一杯の酒を手に今日も彼は言葉をしたためる。

 酒、煙草、女への愛で溢れた作品をこの世に送り出していた作家チャールズ・ブコウスキー。人気を誇る作家のようだが、彼の作品を読んだり、原作の映画を観たことはない(と思う)。健康的とは言い難い生活を送っていたようだが、一種男として憧れる生き様ではある。
 本作は彼の作家修行時代を題材とした自伝的小説 「勝手に生きろ!」を原作とした作品。
 
 マット・ディロンがブコウスキーの分身であるヘンリー・チナスキーを演じている。
 職には就くが、すぐクビになる。その原因は酒。思索が必要だと言っては、仕事の途中でバーへ行ってしまう。クビになって当然だが、チナスキーはあまり気にもしていない風。そうでいられるのは、彼には〝書く〟ということがあったからだろう。
 酔っ払いで、仕事もつづかぬのに、どこか女に愛される男。こういう風に生きられることに少しの羨ましさを感じたりする。
 ちょっとピントのずれた感覚やユーモラスな雰囲気をたたえ、ダメ男なのに愛される。正に 「憎みきれないろくでなし」 である。
 ただ、彼は女を本当には愛していなかったのかも。彼が本当に愛していたのは自分自身のようである。
 「愛よりも、ちょっとした成功が必要」

 ストーリーは彼のそんな明日の見えない生活を綴っていく感じで、それ程起伏のあるストーリーでもないが、マット・ディロンがチナスキーを魅力ある人物に演じていたし、ちょっとしたユーモアと生きることについての示唆を垣間見せてくれる作品。
 最後には一筋の光が刺し込んで来る。

 マリサ・トメイが出演していたが、彼女もだいぶ年輪を重ねてしまったなぁ。

/5

監督:ベント・ハーメル
出演:マット・ディロン、リリ・テイラー、マリサ・トメイ
    ディディエ・フラマン、フィッシャー・スティーヴンス、エイドリアン・シェリー
於:銀座テアトルシネマ
「酔いどれ詩人になるまえに」オリジナル・サウンドトラック
ビクターエンタテインメント
2007-07-25
サントラ

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この記事へのコメント

2007年09月15日 01:24
CINECHANさん、こんばんは☆
本当、「憎み切れないロクデナシ」でしたね。
この映画、大好きでした!!今年の中でも、上位になりそうです。
>「週の半ばだからこそ、酒が必要」
すごくいいタイトルだと思います。
「仕事の途中だけど、酒が必要」な人だったのは、笑ってしまうけど♪
でもその辺りで「こいつダメじゃん」なんて思ってしまう人もなかにはいるのかな、と思います。笑って許せる人が、いいなあ。なんて思います。
CINECHANさん、今度仕事をサボって飲みましょう!(嘘です)
2007年09月15日 11:03
とらねこさん、いらっしゃいませ。
そうかぁ、本作はかなりの高評価なんですね。
世の中ろくでもないことばかりで、自分もろくでもことばかりしているかもしれないけど、何か一つのことを信じていれば、何か光明が差すのかもしれません。
そんな風に感じる作品でした。
>「週の半ばだからこそ、酒が必要」
と言うか、私は
「週の半ばだからこそ、映画が必要」
ですな(苦笑)。

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