212「怪談」(日本)

その言葉、決して忘れない
 若く美しい煙草売りの男、新吉。凛とした三味線の師匠、豊志賀。二人は江戸の町で出会い、燃えるような恋に落ちる。しかし、二人の親にもまた因縁があった。
 夫婦同然に暮らす二人だったが、ある日若い弟子、お久と新吉の目配せを見た瞬間、豊志賀の心に嫉妬の炎がともり始める。新吉と言い争い、顔に傷を負ってしまう豊志賀。傷は腫れ上がり、やがて変わり果てた姿であの世へ旅立ってしまう。そして新吉に残された遺書。「この後女房を持てば、必ずやとり殺すからそう思え」
 新吉はお久と共に生まれ故郷でもある羽生へ駆け落ちを決意する。やがて二人の目に留まったのは「累ヶ淵」という道しるべ。そこから想像を絶する物語が始まる。

 夏と言えば「怪談」。本作は江戸から明治にかけて活躍したと言われる落語家、三遊亭円朝の「真景累ヶ淵」が原作。それを 「リング」 の中田秀夫が監督。

 冒頭、一龍斉貞水の語りで始まり、いかにも「怪談」という雰囲気で始まる。
 
 この作品は「怪談」であって「ホラー」ではない。女の情念、嫉妬が描かれ、とり憑かれた男の行く末を描いている。
 この新吉という男の正体がはっきりしない。本当に豊志賀を愛していたのか、心底優しい男なのか、計算高い男なのか? 必ずしも豊志賀を無下に扱ったようには見えなかったが、それでも豊志賀は新吉にまとわりつく。怨みではなく、全くの愛情、嫉妬。もしかすると親の因縁からか? どうすれば、豊志賀から逃れることができるのだろう? ふとそんなことを考えながら観てしまった。
 死してもなお想う人に会いたいというのは 「怪談・牡丹灯篭」 でも同じで、やっぱり女性の情念は強いということか。

 それほど恐怖シーンはなく、恋愛譚と言った方がいいかもしれない。逆に豊志賀が貞子のように登場すれば、興醒めしたかもしれない。そういういかにもホラーだというシーンを抑え目にしているのが良かったかな。だから蛇のシーンとか、最後の腕のシーンは今ひとつに感じた。

 豊志賀に憑かれながら、幾人かの女性と出会ってしまう新吉。果たして新吉の運命はどうなるのか? なかなか興味深い作品である。

/5

監督:中田秀夫
出演:尾上菊之助、黒木瞳、井上真央、麻生久美子、木村多江、津川雅彦、瀬戸朝香
    榎木孝明、六平直政、光石研、清水ゆみ、広田レオナ、西野妙子、柳ユーレイ
於:丸の内ピカデリー
怪談 【通常版】 [DVD]
メディアファクトリー
2008-02-22

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この記事へのコメント

睦月
2007年09月06日 22:48
こんばんわ。
お久しぶりでした。
こちらの管理の問題で、ウチにいただいたコメントにお返事出来ておりません・・・すみません(泣)。

さて、この作品。
早々と試写会で鑑賞したのですが・・・すでに印象が薄れております(苦)。『怪談』を題材にして、歌舞伎役者を主人公に置くというのはなかなかに新鮮な感じがしましたが・・・ホラーとしてはパンチが弱いし、恋愛モノとしては影がありすぎるような気がする作品でした。

ちなみに・・・私は新吉タイプの男は嫌いです(爆笑)。
バチが当たってしまえ!とずっと心の中で思っていました(笑)
2007年09月08日 00:28
睦月さん、いらっしゃいませ。
確かに強く印象に残るという作品ではなかったかもしれません。
ホラーではないでしょうけど、一応恋愛物なのかな?
つまり「怪談」ですよ(苦笑)。
>ちなみに・・・私は新吉タイプの男は嫌いです(爆笑)。
いい奴なのか、悪い奴なのか、今ひとつ掴みかねましたが、
モテ具合は羨ましかったです。

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