87「さくらん」(日本)

地獄で咲かす桜の花
 吉原、遊郭。一人の少女が玉菊屋に連れてこられる。〝きよ葉〟と名付けられた少女は口も悪く、誰にもなつこうとせず、脱走を繰り返す。そんなきよ葉の面倒を見たのが花魁・粧ひ。彼女はきよ葉に遊女に必要な手練手管を教える。
 やがて粧ひは身請けされ、吉原を出て行き、きよ葉は成長、楼主に「10年に一度の天女」と言わしめる美女に成長した。鼻っ柱の強さと美貌が一躍江戸中の注目の的となり、きよ葉は人気遊女となる。
 しかし、彼女は遊女として、女として様々な経験をしていく。
 やがて日暮と改名し、玉菊屋を背負って立つ江戸一の花魁となっていく。

 一人の女性が、遊郭で時に強く、時に脆さを見せながら、やがて吉原一の花魁へと成長していく姿を描く一作。しかし、ラストには本当に大切なものを見つけるという感じにまとまっている。

 原作は安野モヨコという漫画家。ということはコミックス?  そして監督の蜷川実花を初め、音楽の椎名林檎、脚本と女性クリエーターが集まって作られた、女性による女性の映画である。

 吉原遊郭を舞台にした時代物でありながら、その絢爛豪華たる衣装、セットは正に非日常的な雰囲気を醸している。そして、そこかしこでビードロの中で泳いでいる金魚。これがまた遊女たちを象徴するものとなっているようである。

 ストーリーとしてはストレートなものだと思う。女衒によって売られてきた少女が、遊郭という世界に反発し、様々な困難があっても、持ち前の負けん気でのし上がっていく。基本的には先の読めるストーリーである。

 個人的にはきよ葉の元へやって来る男たちに注目。馴染みのご隠居。若旦那風の惣次郎。浮世絵師・光信。武士の倉之助。彼女の面倒を見る店番・清次。
 そんなに悪どいという男たちはいなかった。物語としては、もう少しそういう男が登場しても良かったのではないかと感じる。

 ストーリーは少々ベタながら、豪華な異常や雰囲気に、異空間を感じさせる作品であった。もっと爽快感があるかな、と思っていたが、それは感じられなかったな。

/5

監督:蜷川実花
出演:土屋アンナ、椎名桔平、成宮寛貴、木村佳乃、菅野美穂、安藤政信
    永瀬正敏、石橋蓮司、夏木マリ、市川左團次
於:シネ・リーブル池袋
さくらん 特別版 [DVD]
角川エンタテインメント
2007-08-03

ユーザレビュー:
和製「SAYURI」 ...
「赤」い映画原作のマ ...
先入観と固定観念と予 ...
amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by ウェブリブログ


この記事へのコメント

2007年04月10日 02:47
こんばんは!いつもありがとうございます!
ホントにねぇ、、、女性陣が作ったのにねぇ、、
作った女性達は、それぞれ、かっこいいんでしょうねぇ、、、
そういう人たちが集まったのにねぇ、、、
残念です。
2007年04月10日 12:58
こんにちは。いつもTB&コメントありがとうございます。
どうも主演の土屋アンナは好きじゃないので...。
ストーリーもたいしたことなかったしねぇ。
時代考証に拘らない鮮やかな色彩はファンタジーでしょうか。

あれれ、エラーで返ってきてTB貼れませんでした。
睦月
2007年04月10日 22:59
こんばんわ。
TB&コメントありがとうございます。
気の強い女ばかりで作った作品だけあって、女至上主義な作品になって
ました。女をどう描くかばかりで、たしかに男に対して重きが置かれて
ないなあという印象はあったかもしれません。

土屋アンナはあんまり好きではないので、菅野さんと木村さんの
体当たり演技が一番印象に残っています。
CINECHAN
2007年04月11日 01:05
猫姫少佐現品限り殿、コメントありがとうございます。
本当にお気に召さなかったみたいですね。
何かストーリー的には物足りない感じは否めません。
CINECHAN
2007年04月11日 01:08
もじゃさん、コメントありがとうございます。
あ、すんません。TB保留されてました。〝動画〟という言葉がひっかかったのかも。
ストーリーは大したことなかったですね。というか後半はトーン・ダウンしてしまいました。何か爽快感も感じられなくて、色彩ばかりが目立ったようになってましたね。
CINECHAN
2007年04月11日 01:11
睦月さん、いらっしゃいませ。
私も土屋アンナはそれ程好きってわけではないです。
遊郭の話ですから、女性がメインなんでしょうけど、それにしても男は皆いい奴過ぎました。
菅野、木村は良かったですね。さすがに女優という感じがしました。
土屋アンナはままなんでしょうか?
2007年04月12日 22:51
こんにちわ。訪問ありがとうございました。
まぁ、映像は凝りに凝った意欲作なのかもしれませんが。
やっぱりノリきれない1本でした。
個人的には、女の世界をもう少しドロドロ描いて欲しかったような気が。
遊郭の話だし、そんな語り口で女性の強さや脆さを描いて欲しかったような気が。
和服を着るからには、もう少しお行儀良くして欲しかったです。アンナちゃん!
CINECHAN
2007年04月12日 23:42
隣の評論家さん、いらっしゃいませ。
やっぱり映像は良けれど、内容はどうも・・・という感じのようですね。
花魁にまで登りつめるストーリーなのかと思ってたので、後半は蛇足気味になりましたね。
出てくる人物もいい人間ばかりというのが、今ひとつストーリー、乗り切れない一因になったんじゃないかなぁ。
2007年04月13日 23:33
こんばんは。TB&コメントありがとうございました。
そうですね、この作品、絵の色彩ばかりが強烈な印象でしたよね。
少しうるさいまでの色彩というか・・
木村佳乃と、菅野美穂、この二人を見れただけでも、この映画はもうけものカナ?って思いました。
何しろ、この二人が素敵でしたよね。
映画は、もういいや~って思いますが、この二人は立派でした!
CINECHAN
2007年04月14日 12:47
とらねこさん、いらっしゃいませ。
確かに、木村佳乃と菅野美穂は女優魂見せていましたよね。
二人とも花魁、というのがひしひしと感じさせてくれる演技、オーラでした。
作品としてはストーリーにもう二捻りぐらい欲しかったです。

この記事へのトラックバック

  • ★「さくらん」

    Excerpt: 土屋アンナ主演の花魁もの。 原作も脚本も音楽も、主要ポストは女性という異例な布陣。 特別協賛まで「女性向け下着通信販売会社」でした。 Weblog: ひらりん的映画ブログ racked: 2007-04-10 01:18
  • さくらん 07056

    Excerpt: さくらん 2007年   蜷川実花 監督  安野モヨコ 原作  タナダユキ 脚本  椎名林檎 音楽土屋アンナ 木村佳乃 菅野美穂 夏木マリ 椎名桔平 成宮寛貴 石橋蓮司 安藤政信 市川左團次 今最.. Weblog: 猫姫じゃ racked: 2007-04-10 02:42
  • さくらん/土屋アンナ

    Excerpt: 原作・安野モヨコ、監督・蜷川実花、音楽・椎名林檎 、主演・土屋アンナ。この顔ぶれを見ただけど、何かスゴイことをやってくれるんじゃないかという期待感がフツフツと沸いてきちゃいました。何となくだけど、この.. Weblog: カノンな日々 racked: 2007-04-10 10:20
  • 【 さくらん 】

    Excerpt: 安野モヨコ原作のコミックを実写映画化。吉原遊郭を舞台に繰り広げられる女男のドラマ。 原作は未読。画面一杯に鮮やかな色彩が広がりますが、”静止画”として見ると非常にキレイなんだけど、"動画"として.. Weblog: もじゃ映画メモメモ racked: 2007-04-10 12:58
  • 「さくらん」

    Excerpt: 「さくらん」ブロガー試写会 アスミックエース試写室で鑑賞 ぶっ飛び!面白かった!特別なご贔屓さんが出てるわけでもないのに終わった瞬間もう一度みようと思いました。こんなのは久しぶり。ご贔屓さんがい.. Weblog: てんびんthe LIFE racked: 2007-04-10 14:00
  • さくらん(舞台挨拶付き・試写会)

    Excerpt: 【映画的カリスマ指数】★★★☆☆ はみだし花魁・青春派  Weblog: カリスマ映画論 racked: 2007-04-11 02:15
  • さくらん

    Excerpt: 基本的にはドタバタ青春コメディなので、アッと驚く展開がなく淡泊な事、ラストがドラマチックでないこと…。 ん~、でもそれらをさっぴても大満足です。それに… Weblog: 八ちゃんの日常空間 racked: 2007-04-11 20:09
  • さくらん

    Excerpt: 「さくらん」製作:2007年、日本 111分 PG-12指定 監督:蜷川実花 原 Weblog: 映画通の部屋 racked: 2007-04-12 22:46
  • #21.さくらん(舞台挨拶つき)

    Excerpt: 極彩色の花魁絵巻見ての通り、ものすっごい色彩です。ケバケバしいというか、上品さを感じさせない奇をてらったまでの色とイロといろの洪水。女郎・花魁の世界を描いたこの作品、かなり内容的にも、エロは入っている.. Weblog: レザボアCATs racked: 2007-04-13 23:29
  • 【2007-32】さくらん

    Excerpt: 男と女の求めるすべてがあった吉原遊郭に、 後に伝説となる一人の花魁がいた・・・ なめんじゃねぇ~よ。 てめぇの人生、てめぇで咲かす! Weblog: ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!! racked: 2007-04-15 19:56
  • 真・映画日記(1)『さくらん』

    Excerpt: 2月25日(日) (前の日からのつづき) 朝5時半に店を出る。 とにかくたらふく肉を食べた。 T社長以外はいっぱいいっぱい状態。 新宿駅前で解散。 ボクは歌枕さんと内博さんを新宿三丁目.. Weblog: CHEAP THRILL racked: 2007-04-16 01:15
  • さくらん

    Excerpt:     製作:2007 監督:蜷川実花 原作:安野モヨコ 出演:土屋アンナ、安藤政信、木村佳乃、菅野美穂、椎名桔平、成宮寛貴、 ?  ?  永瀬正敏、遠藤憲一、石橋蓮司、夏木マリ、市川左團.. Weblog: あきすとぜねこ racked: 2007-04-18 22:30
  • さくらん

    Excerpt:  遊郭ものといえば一昔前は五社英雄、そのはるか以前は溝口健二のお家芸でしたが、最近はあまり見かけなくなりました。たまに『SAYURI』のような作品が出現すること Weblog: シネクリシェ racked: 2007-04-27 22:48
  • さくらん-(映画:2007年81本目)-

    Excerpt: 監督:蜷川実花 出演:土屋アンナ、椎名桔平、成宮寛貴、木村佳乃、菅野美穂、永瀬正敏 、安藤政信、小泉今日子、石橋蓮司、夏木マリ 評価:74点 公式サイト (ネタバレあります) .. Weblog: デコ親父はいつも減量中 racked: 2007-07-22 20:38
  • 桜の泡

    Excerpt: 「さくらん」 「バブルへGO!! タイムマシンはドラム式」 Weblog: Akira's VOICE racked: 2007-08-23 10:36
  • さくらん

    Excerpt:  『てめぇの人生、てめぇで咲かす 花魁をなめんじゃねぇよ』  コチラの「さくらん」は、2/24公開になった安野モヨコさんの同名コミックの映画化で、演出家の蜷川幸雄さんの長女でフォトグラファーの蜷.. Weblog: ☆彡映画鑑賞日記☆彡 racked: 2007-09-24 00:49
  • さくらん(DVD)

    Excerpt: てめぇの人生、てめぇで咲かす Weblog: ひるめし。 racked: 2007-11-17 13:08
  • 『さくらん』'07・日

    Excerpt: あらすじ8歳で吉原遊郭の玉菊屋に連れて来られた少女きよ葉は何度も脱走を図るがあえなく失敗。気位が高い花魁・粧ひ(菅野美穂)は、そんなきよ葉に花魁としての生き方を教える。やがて17歳になったきよ葉(土屋.. Weblog: 虎党 団塊ジュニア の 日常 グルメ 映画 ブログ racked: 2008-04-06 22:31
  • 『さくらん』 桜錯乱咲くらん

    Excerpt: 『さくらん』8歳で吉原遊郭の玉菊屋に連れて来られた少女、きよ葉は、何度も脱走を図るがあえなく失敗。気位が高く、絶世の美しさと知性を兼ね備えた、完璧な高級花魁、粧ひ(菅野美穂)は、そんなきよ葉に、花魁と.. Weblog: *モナミ* racked: 2008-04-12 12:08
  • さくらん

    Excerpt: 安野モヨコ原作のマンガを映画化したもの。監督は蜷川実花、土屋アンナ主演で、その他のキャストは、椎名桔平、成宮寛貴、木村佳乃、菅野美穂など。 <あらすじ> お蘭によって吉原の玉菊屋に連れてこられた8歳.. Weblog: Yuhiの読書日記+α racked: 2008-06-22 11:19
  • 「さくらん」

    Excerpt: ビードロの中の金魚・・ Weblog: 心の栄養♪映画と英語のジョーク racked: 2009-05-05 10:52
  • さくらん

    Excerpt: 花魁をなめんじゃねぇよ Weblog: Addict allcinema 映画レビュー racked: 2009-06-14 14:53