37「長州ファイブ」(日本)

生きたる機械となるために
 1853年ペリー率いる黒船が浦賀に来航して以来、日本は開国か攘夷かで揺れていた。それは江戸300年の泰平が破れようとしていた時代でもあった。
 1863年「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」という孫子の発した故事と吉田松陰の教えに発奮し、命懸けでイギリスに密航した若者たちがいた。その勇気ある志士は伊藤博文、井上馨、井上勝、遠藤謹助、山尾庸三の5人で、のちに〝長州ファイブ〟と呼ばれる。
 彼らはロンドン大学で学び、造幣、造船、鉄道の技術を貪るように学ぶ。イギリスの最新技術や知識を習得し、〝生きたる機械〟となって、祖国日本へ持ち帰らんとしていた。

 幕末の話となれば、幕末の志士と呼ばれた人たちが、日本の未来のために活躍した話が多いが、たいていは日本国内の話である。外国へ渡ったというエピソードはあれど、実際外国で活躍したものを映したのは少なかったのでは?
 この作品は幕末、命懸けでイギリスへ渡った者たちのイギリスでの活躍を描いている、新たな幕末の物語という感じである。

 恥ずかしながら、日本史には疎く、実はあまり興味も持っていなかったので、〝長州ファイブ〟と呼ばれていた人物のことは知らなかった。その5人も伊藤博文意外はよく知らない。しかし、彼らはイギリスで学び、その技術や知識を祖国日本のために全員活かしている。
 鉄道開設に造幣局、初代外務大臣、初代内閣総理大臣、工部大学校設立など。

 ストーリー展開としては少々思っていたものと違ったかな。5人で命を懸けて海を渡るのだが、ちょっとそのシーンが少ない。そしてイギリスでも5人のうち、様々な事由で帰国してしまう者もおり、終盤は一人だけのエピソードになってしまった。もう少し5人の祖国への思いを持った活躍を見せて欲しかった。
 ラストには彼らの業績が示されるが、それも映像で見せて欲しかったかな。それにしても、あの〝桜の通り抜け〟がこの時代に考案されていたとは。

 話としてはかなり大きな話であるのだが、どこかこじんまりとした印象を持つ作品であった。

 イギリスへの航海シーンで流れる音楽はエンディングでも流れていたが、ちょっと「パイレーツ・オブ・カリビアン」に似ていたな。

/5

監督:五十嵐匠
出演:松田龍平、山下徹大、北村有起哉、三浦アキフミ、前田倫良
    原田大二郎、榎木孝明、寺島進、泉谷しげる
於:シネマート六本木
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ケンメディア
2007-09-28

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この記事へのコメント

2007年02月26日 18:45
CINECHANさん、こんばんにゃ☆
CINECHANさん的には、ちょっとイマイチだったみたいでしたね。
私は、この新しい、幕末の描き方が、とても気に入ってしまいました。
新しい事を学ぼうとする姿勢、そういったものを一番フィーチャーしていた感じでしたね。
確かにこの尺では、なかなか描ききるのは難しいところかもしれませんね。
でも、自ら侍の象徴であるマゲを切るところなんかは、よほどの覚悟があったはずですよね。
幕末の長州藩のイメージが変わりました。
CINECHAN
2007年02月27日 00:57
とらねこさん、コメントありがとうございます。
確かに幕末の話としては違った切り口で、なかなか面白いところもありました。
まああれもこれも描いてしまうと大河ドラマになってしまいますね。
ん? そう言えば戦国時代に海外に渡った男の大河ドラマが昔あったような・・・

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