257「手紙」(日本)

オレ、兄貴を捨てる・・
 武島直貴、20歳。誰とも打ち解けず、暗い目をした青年。彼が人目を避ける理由、それは兄、剛志が、直貴を大学にやるための学費欲しさに盗みに入った家で、誤って人を殺してしまったことだった。剛志への判決は無期懲役。
 殺人犯の弟して疎まれる直貴は引越しを繰り返し、転職も数度。それでもただ一人とも言える親友の寺尾祐輔とのコンビでお笑い芸人になる夢を達成する。そして合コンで知り合った女性中条朝美との恋。しかし、直貴の兄が殺人犯と知れたとき、それは手からすり抜けていく。絶望の底に落ちる直貴。そして刑務所内の兄、剛志と手紙をやり取りしていた直貴だったが、いつしか返事を書かなくなっていた。兄との繋がりを絶とうとするように。

 犯罪を犯した者の身内という境遇。恐らくほとんどの人は味わったことのない立場であるから、それを理解するというのは難しいだろう。しかし、理不尽な立場で、差別されてしまう青年の深い絶望と悲しみがよく描かれていると思う。夢、仕事、恋。それぞれうまくいきそうで、幸せを掴もうとしていたときにのしかかってくる殺人犯の弟ということ。そしてやって来る悲しみ。
兄が必ずしも悪人という感じでないところが、弟の苦しみを増やしている。
 
 ドラマとしてはとても興味深く、涙を誘う作品である。それは夢破れたとき。赦しを得たとき。そして兄貴を捨てようとするとき。

 自分のせいでもなく、レッテルを貼られ、差別されてしまうというのは、どんなものなのか? 本人が周囲の目を吹き飛ばしたり、あるいは周囲の目など関係なく付き合うというのは難しいのだろうか? 考えはすれども、そういう立場ということが現実にあり得るかさえわからないので、どこへ感情を持っていっていいのか難しい作品ではあった。作品に入り込めないという意味ではなく、考えさせられるということである。

 終盤は、絶望から赦し、というのがしつこいと感じるぐらい繰り返されるが、それでも涙を流すことの多いドラマではある。

/5

監督:生野慈朗
出演:山田孝之、玉山鉄二、沢尻エリカ、吹石一恵
    尾上寛之、吹越満、風間杜夫、杉浦直樹
於:サロンパス ルーブル丸の内
手紙 オリジナルサウンドトラック
GATE RECORDS
2006-11-11
サントラ

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この記事へのコメント

睦月
2006年12月04日 03:05
こんばんわ!TB&コメントありがとうございます!!
おお!スライム4つじゃっ!!

これはホントにいろいろなことを考えさせられる作品でしたよね。そして大いに泣かされる物語でもありました。

≫兄が必ずしも悪人という感じでないところが、弟の苦しみを増やしている。

そう・・そこなんですよ。恨むに恨みきれない、捨てるに捨てきれないという葛藤がなおさら直貴を苦しめていたんだと思います。
こういう物語も第三者的な目線でしか観れないのは少し残念ですが、逆にそれはとても幸いなことでもあるんだと思いました。
CINECHAN
2006年12月05日 00:14
睦月さん、コメントありがとうございます。
最初から最後まで、どういう風に見ればいいのか悩みましたね。
どうしても第三者的な見方になってしまう。わかります。
本当に泣かされる作品でした。
2006年12月06日 00:19
CINECHANさん、こんばんわ。
この会長(杉浦直樹)は何てこと言い出すんだろう!と思いながら会長のセリフを聞いていましたが、最後まで観て行くうちに、綺麗ゴトではない現実を考えさせられました。
幸い、自分の身近に似たようなケースが無かったので、評論家的な発言ならいくらでもできそうなテーマですが、実際に身近で起こったなら何も語れないかも知れません。
CINECHAN
2006年12月06日 23:26
HIROMIC WORLDさん、こちらにもコメントありがとうございます。
この作品で直貴を説得する台詞って難しいなぁ、と感じました。
会長の言うこともわからないではないんですが、当の本人にはなかなか納得できないだろうな、とも思いました。
こういう立場というのは、感情移入するにも難しいところもあります。
ドラマとしてはなかなか面白かったです。
2007年01月13日 15:58
こんにちわ。
TB&コメントありがとうございます。
わぁーっ、ぴちょん君が4つ。出ましたね、高評価。
この作品は、余りにも書きたい事が多過ぎて。何度も読み返しては文章を削除して、それでも記事が長くなってしまいました。
直貴にはイライラしました。元々、山田孝之ってカッコ良いけど私にはインパクトの弱い俳優さんなんですよね。ドラマで主演してても、どうしても脇に目がいってしまうんです。そんな私でも、直貴のシーンで印象深いところもあったんですよ。ベロベロに酔っ払った田中要次が勢いで直貴の兄を罵倒するようなシーンがありましたが。イライラさせる直貴にしては、俊敏に殴り倒してましたよね。きっと、直貴は。心の奥では兄を大切に想っているんだろうな って感じました。ただ頑固で不器用なばっかりに、素直に兄に手紙を書けなくて。ついつい「アニキのせいだ」って考えて生きてしまったのかなぁ なんて。10代で背負うには辛い出来事ではありますけど、周りに支えてくれる人がいる事に感謝しつつ、アニキを、そして自分自身を赦して欲しいな なんて思って。
CINECHAN
2007年01月14日 01:37
隣の評論家さん、いらっしゃいませ。
確かに直貴を見ていると、ちょっといらいらさせられましたね。
山田孝之はこの役柄にはよく合っていたと思いますね。
なんだかんだ言っても、直貴は兄を好きなんですよ。それは垣間見えました。それが故に苦悩もあったんでしょう。
でも、そんな彼を支えてくれる人があって、ラストへと向かっていったんですね。
高評価はもちろんでしょう。

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