254「父親たちの星条旗」(アメリカ)

祭り上げられてしまった英雄たち
 1945年2月23日、戦争に疲弊していたアメリカ国民を熱狂させた1枚の写真が撮影された。それは硫黄島に星条旗を立てる6人の兵士の姿だった。6人のうち生き残った3人、ドク、アイラ、レイニーは帰国し、硫黄島の英雄として迎えられ、国債買入のため全国への行脚へと駆り出される。どの地でも熱狂的に迎えられる3人。しかし、彼らは戸惑い、苦悩していた。
 あの1枚の写真の裏側にある真実。もう一つの星条旗の存在。入れ替った6人目の兵士の存在。そして忘れ得ぬあの戦場。
 彼らは硫黄島で何を見たのか?

 有名な写真の裏側に隠されたいくつもの真実と、英雄として祭り上げられた3人の兵士の苦悩を描く作品。「硫黄島2部作」として製作され、アメリカ側からの視点として描かれている。

 ストーリーは英雄として帰還した3人の行脚のシーンから、回想として硫黄島での戦闘シーンが描かれる。その戦闘シーンはなかなか迫力あるもので、更に凄惨でもあった。

 そして3人の兵士たち。苦悩を顕わにしていたのは、インディアンでもあるアイラ。あまりの苦悩に行脚中酒浸りになってしまう。英雄だと言われているのに、インディアンということで、酒場への入店を拒否される。
 ドクも硫黄島での戦争に苛まれていたが、それを表すということもなく、冷静に対応する。それでも裏に隠された苦悩はかなりのものだったようだ。
 戦場でのライアン・フィリップは違う人のように見えるほど精悍に演じていた。

 戦場での悲惨さ、英雄と祭り上げられた若き兵士の苦悩。全編辛いシーンばかりである。終盤そこに光を見せようとしていたかもしれないが、やっぱり辛い終わりだったように感じる。
 個人的には終盤のシーンは長過ぎるに感じた。

 英雄とは周囲の人々が作り上げるものである。特に戦争においては英雄を作り上げて、意気を鼓舞する。戦争には英雄というものは本当はいないのだろう。そう感じる若き兵士の姿が痛々しい。

/5

監督:クリント・イーストウッド
出演:ライアン・フィリップ、ジェシー・ブラッドフォード、アダム・ビーチ、ジェイミー・ベル
於:丸の内プラゼール
「父親たちの星条旗」オリジナル・サウンドトラック
ビクターエンタテインメント
2006-12-06
サントラ


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この記事へのコメント

2006年11月29日 20:57
こんにちわ。
『ソウ3』と併せてTB&コメントありがとうございます。
>戦争には英雄というものは本当はいないのだろう。
そうですね。これが一番強く伝わってきたメッセージといった印象を受けました。
ライアン・フィリップは、『クラッシュ』を観たイーストウッドが大抜擢したとの事ですが。なかなか、監督のイメージ通りのキャラクターに仕上がっていたのではないかしら。(贔屓目?)
CINECHAN
2006年11月30日 01:02
隣の評論家さん、コメント、サンキュー。
ドラマティックという感じではありませんでしたが、戦争というものの悲惨さ、兵士の苦悩はよく伝わってきました。
ライアン・フィリップはなかなか好演してましたよね。
2006年12月10日 17:49
こんにちは、CINECHANさん。
じぶんは歴史にものすごく疎いのでへぇ連発で観てました。
ついでに戦争映画も苦手なんですがね。
「硫黄島」もう公開してますね。今年中に観に行けるかなぁ。
CINECHAN
2006年12月13日 00:17
もじゃさん、コメントありがとうございます。
戦争映画苦手なんですか? 「プラトーン」や「ハンバーガー・ヒル」などのベトナム戦争ものが流行っていた時結構はまりましたが。
「硫黄島」はすでに観てきました。

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