59「ヒストリー・オブ・バイオレンス 愛と暴力の対立」(アメリカ)

苦悩は続いていく・・・
 アカデミー賞は2部門のノミネートに終わったが、批評家の評価も高かったこの作品。
 田舎町で弁護士の妻と二人の子供と幸せに暮らしていたトム・ストール。ある夜トムが働くダイナーに二人組みの強盗が入る。銃を突きつけられ、危険な状況に陥った彼はとっさの行動で強盗を射殺、店の客や友人を救う。正当防衛で街のヒーローと讃えられた彼はメディアにも取り上げられる。店も賑わうある日、フォガティという男がトムを訪ねてくる。そしてトムのことをジョーイと呼ぶ。突然の訪問者で不安に襲われる妻のエディ。執拗に付きまとうフォガティたち。そして彼は言う。「なぜ、あんなにも人を殺すのがうまいのか、ジョーイに訊いてみろ」 信頼と不安の間で揺れ動く妻の思い。果たしてトムは本当はジョーイで人を殺してきたのか?

 生まれ変わったはずの男に追いすがる過去の影。息子をも巻き込んでしまった過去。家庭のため、過去を断ち切るため彼が最後にとった行動は・・。
 鑑賞し終わった後は微妙な気持ちになった。すっきりするような作品ではない。
 ラスト、家族の食卓。妻と息子と娘。そこへ帰ってくる夫。食卓につくことがままならない夫。そこへ娘が皿を用意する。そして息子は料理の入ったボールを差し出す。妻の泣き顔とも笑顔ともとれる表情。信頼と不安との葛藤はこの先も続いていく。

 幸せだったがゆえに、襲ってきた悪夢が重過ぎる。これは問題提起の作品で、そこに解決はない。それを乗り越えようとする苦悩が続いていく、というような気がする。

監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
出演:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート
於:銀座東劇

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この記事へのコメント

2006年03月24日 00:32
CINECHANさん、こんばんわ。
そう、すっきり感が無いですよね。誰もがなんとなく折り合いをつけてモトサヤごっこをしているようで、この家族には、このあとも問題が起きそう・・・そんな感じ。人生は変化し続けているものだから、仕方無いのかもしれませんけどね・・・。
CINECHAN
2006年03月24日 00:46
HIROMIC WORLDさん、こんばんは~
すっきり感はなかったですね。いや、この先も色々苦悩は続いていくと思いますよ。そんなに簡単に「信じられる」とは言えないですからね。
睦月
2006年03月24日 11:18
CINECHANさん!お久しぶりな感が・・・。久々に作品かぶりましたね。私は、とっても楽しみにしていた『変態村』の鑑賞以来・・・なんだか映画鑑賞意欲がそがれてしまって。困ってしまいました(笑)
この作品、睦月的にはかなり面白かったです。ただのヒーローもの、バイオレンスものではなく、観客に考えさせる余地をつくっているあたり・・・クロー年バーグのさすがの手腕を感じました。まあ、似たような余韻を残す作品としては『ミュンヘン』もかなりの問題提起的な作品でしたが・・・あちらよりは私の肌に合っています(笑)
それにしても・・・ライブドアブログが動きません・・。今、会社からこっそりコメントしてます。会社のPCからでもアメブロにはコメント出来ちゃうってことに今日、気付きました・・・。
睦月
2006年03月24日 12:12
ごめんなさい・・ずっと勘違いしてた。
ココはウェブリブログですね・・・。
2006年03月24日 20:10
CINECHANさん、こんにちわ。
Tb&コメントありがとうございました。
随分とすっきりサッパリしていた印象の作品でしたね。
ラストは観客に委ねる終わり方で、コレはコレで結構好きでした。
それにしても、この作品は記事が書き辛かったです。色々と感じたところがラストにかけてだったので、ネタバレしないように気を遣っていたら書く事が無くなってしまって(苦笑)。こういう事もあるんですね。
CINECHAN
2006年03月25日 00:44
睦月さん、こんばんは。
確かに久しぶりのような気がします。この作品も観ることは決めていたんですが、如何せん近場では1館しか上映していなかったもので時間がなかなか。
余韻を残した、考えさせる映画でしたね。ラストシーンの後どうなっていくのやら。バイオレンス的にも面白い作品でしたが。
先ほど「カリスマ映画論」を開こうとしたら「見つかりません」になってしまいました。ウェブリブログも動きが悪いので、どちらがどうやら・・・
CINECHAN
2006年03月25日 00:49
隣の評論家さん、コメントありがとうございます。
激しいシーンもあれども淡々とした展開ではありましたね。まあこのラスト、私も嫌いではありませんが。
この作品に限らず、私はいつもどこまで書けばいいのか悩んでますが・・・
もじゃ
2006年04月16日 21:13
こんにちは、CINECHANさん。
TB&コメントありがとうございます。
じぶんはクローネンバーグ監督が好きなので、オープニングからゾクゾクしました。
余韻を残すラスト、家族の食卓シーンも意味ありげで好きです。
CINECHAN
2006年04月17日 01:59
もじゃさん、コメントありがとうございます。
クローネンバーグ作品って気にして観たことがないのですが、多分何本かは観ているんでしょう。彼の作品にしては大人しい感があるような意見もあったようですが。
ラストのシーンは余韻が残りましたね。

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