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zoom RSS 96「善き人のためのソナタ」(ドイツ)

<<   作成日時 : 2007/04/18 01:51   >>

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これは私のためのものだ
 1984年東ベルリン。国家保安省(シュタージ)は膨大な監視システムにより、反体制者を取り締まっていた。局員であり、体制に忠誠を誓っているヴィースラーは、劇作家のドライマンを監視するよう命令を受ける。反体制的な証拠を掴めば、出世への道も開けていた。
 ドライマンの部屋に盗聴器を仕掛け、ドライマンと舞台女優である恋人のクリスタを監視するヴィースラー。しかし、国家を信じ、忠実に仕えてきたヴィースラーだったが、盗聴器を通して知る自由、音楽、文学そして何よりも愛。今まで知ることもなかった新しい世界に引き込まれていく。
 しかし、シュタージはドライマンの証拠を何とか見つけるように、更なる作戦を実行しようとしていた。

 ナチスの圧政を描いた作品は過去いくつかあったが、これはベルリンの壁崩壊前の旧東ドイツの国家保安省(シュタージ)の実態を描いた作品。20年そこそこの前なのに、これ程の圧政、監視体制が取られていたことに驚き。特に作家などの芸術家達は、反体制的な本や劇を書かないように常に監視されていたようだ。

 ストーリーは、劇作家の一人ドライマンをシュタージのヴィースラーが監視することから始まる。ヴィースラーは体制に忠実であり、いかにも冷徹、反体制者を自白に追い込むことに長けていた。そんなヴィースラーはドライマンを監視するうち、自分の知らなかった世界を知り、引き込まれていく。最初はドライマンの恋人である女優のクリスタに惹かれたような感じではあるが。
 このヴィースラーが、ほとんど表情は変わらないのだが、最初の冷徹さから徐々に目が優しくなっていったように感じた。ほとんど感情も表さないが、ドライマンとクリスタが愛を囁き、抱き合う様子を聴きながら、うっとりしている表情は、ちょっと笑えてしまった。

 徐々にドライマンとクリスタに迫り来るシュタージの手。果たしてヴィースラーはどのような行動を取るのか? 3人の行き着く果ては? 非常に引き込まれた作品である。

 ネタばれになるかもしれない感想

 ベルリンの壁の崩壊後、ドライマンは新作を書いていなかった。旧体制の大臣だった男は言う。
 「情熱を失ったか? 反発するものが無くなって、書くことが無くなったか?」
 実際は恋人のクリスタを失ったことによる喪失感から書けなかったのかもしれないが、意外とこの台詞、納得してしまった。
 そしてラスト。
 「HGW XX7に感謝を込めて」
 「これは私のための本だ」
 泣けてしまった。

/5

監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
出演:ウルリッヒ・ミューエ、マルティナ・ゲデック、セバスチャン・コッホ、ウルリッヒ・トゥクール
    トマス・ティーマ、ハンス=ウーヴェ・バウアー、フォルカー・クライネル
於:渋谷シネマライズ

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コメント(8件)

内 容 ニックネーム/日時
TB&コメントありがとうございました。

この物語って、全てはあのラストに向けて作られたようなものだなあと
いう気がしました。
それまでは淡々と静かに展開していた作品になんとなく目が離せなく
なっていましたが・・・あのラストで予期もせずに涙がドバドバ出てしまって(苦笑)。

主演の方は目の表情が素晴らしかったですね。
おっしゃるように、物語が進むにつれてどんどん目が優しくなって
いったように思います。
睦月
URL
2007/04/19 10:21
睦月さん、コメントありがとうございます。
あのラストは本当に涙が出ると共に嬉しかったですね。
ヴィースラーが少しは救われたような感じがして。
展開は確かに淡々としながら、緊迫感も徐々に上がっていく、引き込まれて止まない作品でした。
CINECHAN
2007/04/20 00:25
TB&コメントありがとうございます。
他の記事にもTBさせて頂きましたー
中盤からの引き込み方が素敵でした。静かなんだけど、とても力のある作品だったと言うか。
ぴちょん君4つですね!CINECHANは、ひょっとしてラストは涙で画面が見れなくなったクチですかね?
何となく、冷静な印象の強いCINECHANらしい、感動したことが静かに伝わるレビューだと思いましたデス。
隣の評論家
URL
2007/04/20 21:22
隣の評論家さん、コメントありがとうございます。
ラストの一歩手前でのシーンで、このまま何もないのかな、と思ってしまったので、余計にラストはグッと来てしまいました。
本を使ったのも良かったかなぁ。
確かに中盤以降はグイグイ引き込まれました。良作です。
CINECHAN
2007/04/21 16:47
CINECHANさん、こんばんは★
この作品は、私も本当に好きな作品だったんですよ・・。
見て、良かったですよね〜♪
私は最初、これ、政治モノで、正直苦手なタイプの映画かと思ったんですが、友達の誘いで仕方がなく行きました(笑)
結果、行って良かったぁ!と思いました。
CINECHANさんも気に入ったと聞いて、すごく嬉しいです。
私もこれ、大好きでした。ウルリッヒ・ミューエは、おっしゃる通り、表情が全然変わっていくんですよね。そこがまた見事でした。
とらねこ
URL
2007/04/23 23:42
とらねこさん、いらっしゃいませ。
私も最初は二の足踏んで、結局終映直前の鑑賞となりました。
でも、なかなか引き込まれた作品でした。
徐々に表情が変わっていくヴィースラーも良かったですし、ラストも珠玉でした。
CINECHAN
2007/04/24 23:38
主演の方、亡くなったそうですね。
残念です。
laerl38
URL
2008/02/12 12:28
laerl38さん、いらっしゃいませ。
え? 主人公の人、亡くなったんですか?
本当に残念ですね。
印象深い演技だったんですが。
CINECHAN
2008/02/14 01:46

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